新小山市民病院の看護師が3年続けている活動

新小山市民病院の看護師が3年続けている活動

入院生活の最後の日、めずらしく病院で館内放送がありました。

看護師と栄養士が脳卒中予防について講演を行うようです。

看護師が自身の病院で講演を行うのはめずらしいのかなと思い、参加することにしました。

場所は、1階の「情報サロン」と呼ばれる小さな部屋で、病気や食事に関するパンフレットを見ることができるスペースです。

参加者は私を含め3人で、みな入院患者でした。

「いつも放送しているんだけど、少人数しか集まらないのよね。」と看護師。

そんな気になる言葉から、『脳卒中を予防するための十か条』の講演会はスタートしました。

時間は、講演+質問でトータル1時間30分。

少々長めでしたが、少人数で質問しやすい雰囲気だったので、患者と看護師・栄養士の間で活発なやりとりが行われました。

理想と現実とのギャップを埋めるのは対話

脳卒中の原因の一つとされている高血圧を防ぐためには”減塩”が重要だと言います。

厚生労働省が出している日本人の食事摂取基準2015によれば、1日あたりの食塩の摂取目標は、男性8g、女性7gです。

しかし、このような典型的な日本人の朝食で、すでに7.3g。

1日量なんてあっという間にオーバーしちゃいます。

この例だと、栄養バランスを考慮しても、納豆と漬物、梅干しは必要ないと言います。

和食は塩を使うメニューが多いので、塩分とりがち。

そこで、できるだけ塩を減らす対策が紹介されました。

塩がなくても、香味野菜やスパイスなどの香りや、だしのうま味を利用すれば、我慢せずおいしくいただけます。

また、調理の課程でしょうゆを入れるタイミングを工夫すれば、少量でもしっかりと香りと味が感じられます。

 

栄養士:「お手本は病院食です。その味を体で覚えてください。」

私は常食(糖質や塩分、たんぱく質の制限なし)だったので、病院食は物足りなく感じませんでした。

しかし、塩分制限食のおじさまは納得できない様子です。

おじさま:「しょうゆをソースに変えるのはいい?」

栄養士:「ソースにも塩が入ってるからあまり意味がないです。」

おじさま:「減塩しょうゆならいつもと同じ量をかけてもいい?」

栄養士:「減塩しょうゆの塩分量は、濃口薄口しょうゆの約半分だからいいですね。」

おじさまが自分ができることを見出した瞬間でした。

できるだけガマンせずに、いつも通りの食事をしたい。そりゃそうです。

いくら健康に良くても食事を心から楽しめないことにつながるなら、余程の決意がない限りできません。

もし、このやりとりなく、「理想」か「現状」かの2択なら「現状」をとっていたのではないかな。

テレビやインターネット、アプリなどの一方通行の健康情報では不可能で、対面だからこそだと思いました。

この活動を始めた看護師の想い

講演会終了後に、看護師と話をしました。

この活動は、栃木県の脳血管疾患死亡率が全国で男性4位、女性2位とかなり上位である事実を知り、「この危機的状況をどうにかしないと」との想いで始めたそうです。

しかし、活動を始めて3年間、参加者数が少ないため継続できるか危うい状況だと言います。

外来患者も参加できるよう、講演会は1階の部屋で行っていますが、参加は未だほとんどいません。どうにか活動を知ってもらうために、患者の行き交う病院の廊下で実施しようとしましたが、病院の許可がおりなかったようです。

涙ぐましい努力をされている…!

私は看護師の熱意と想いに心を打たれてしまい、入院患者として、かつて科学館で働いていた者として、以下のことを提案しました。

 

●3階のdルームで開催するのはどうか

病棟の3階には雑誌を読んだり、お見舞いに来た人とおしゃべりしたり、飲食可能な入院患者憩いの広場(通称dルーム)があります。

入院患者(特に整形外科)は頭はクリアで、内臓も元気なので、刺激に飢えています(私だけかもしれませんが笑) 。何かやっていると知れば、立ち寄りたくなります。

また、外のテラスは気持ちがいいので、dルームには頻繁に来ます。

ベッドから動けない患者でも、そのご家族が参加してくれる可能性大です。

 

●時間はもう少し短くした方がいいかも

館内放送では10:30~12:00でアナウンスされていました。聞いたとき、けっこう長いな…どうしようかな…と少し躊躇してしまったのです。
1時間30分はよっぽどの興味がないと参加しません。

講演は30分とご案内し、その後は質疑含め自由対話の時間にしたらどうかと提案しました。

 

ケガや病気は、生活習慣を見直すいいきっかけになります。私自身がそうでした。

この病院の活動をより多くの患者に知ってもらい、ずっと続いていってほしいと強く願います。

昨年入院したときも、今回の入院でも感じたのは、この病院で働いている方のサービス精神や人への心配りがすばらしいということ。

新小山市民病院でお世話になった看護師、医師、スタッフ、理学療法士の方はみんな優しく、親切でした。手術前も、毎日のルーチンの血圧・体温測定も笑顔で雑談をして和ませてくれます。

病院まで自宅から片道2時間以上かかりますが、それを苦に感じさせないほど私の主治医の先生は、いつも笑わせてくれます。

自宅近くの病院では、ルーチンをこなすようなあっさりした診察を多く体験し、虚しい気持ちになりましたが、この病院ではそれを感じません。

きちんと私という人を見てくれていると感じます。

退院時にはアンケート調査をしており、常にサービス改善の努力をされています。

この結果が、おいしい病院食にも、優しい看護師やスタッフの心遣いに表れています。

 

骨折をしたのは情けなかったですが、救急車で新小山市民病院に運ばれてよかったと心から思います。

大変お世話になりました。